KnightsofOdessa

真昼の女のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

真昼の女(2023年製作の映画)
2.5
[] 50点

バルバラ・アルベルト長編七作目。ドイツの作家ユリア・フランクによる同名小説の映画化作品。映画は第一次世界大戦期のドイツに始まり、第二次世界大戦終結から10年後までを扱っている。主人公ヘレーネの傍にいる人物として姉マルタ、初恋人カール、ナチ旦那ヴィルヘルムの三人が挙げられ、映画も大きくその三つに分割される。特にカール編とヴィルヘルム編はそれぞれ狂乱の戦間期とユダヤ人には厳しい時代だった二次大戦期に相当する。これを2時間で語るせいで、あまりにも雑なダイジェストになってしまっている。しかも、例えば産みたくなかった息子がギャーギャー泣き続けているシーンで、ナチ旦那が話し始めると一瞬にして泣き止んで、話し終わると泣き始めるというような、都合の良さも悪目立ちしている。実際には泣いているが、聞きやすいように消したという映画的配慮かもしれないが、絶対違うと思わせるくらい他も"調整"されていて、ここではこういう感情になってほしいんだな、こう言わせたいために登場してるんだな、という裏事情が表にダダ漏れてしまっている。"真昼の女"とは畑に登場し、出会ったら自分のことを語らないと呪われる(語ったら特に何も起こらない?)というタイプの妖怪らしく、ラストで引用されているが、正直全然上手くないと思うし、原作のドイツ語wikiを読む限り多分原作のラストを気味悪い方へ改変してる気がする。少なくとも、戦間期か二次大戦期のどちらかに絞った方が良かったのでは?マーラ・エムデのファンとしては悲しい。
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