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Ryuichi Sakamoto | Opusのsssのレビュー・感想・評価

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)
4.8
「Ars longa, vita brevis.」
何から書けば良いだろう。
ピアノと坂本龍一と光。それらだけを被写体にあらゆる構図の映像がひしめく。
特筆すべきは、ピアノと眼鏡の鏡的役割だ。
その鏡は、鍵盤や坂本龍一の手や髪、楽譜を反射し、モノクロームのフレームに美を与える。
そんな映画的な喜び。観る喜びが私を揺り動かす。
しかし、そんな観る喜びを聴く喜びが上回ってしまい、私はときおり目を閉じる。
坂本龍一のフラットな音像が、暗闇の中で感情を反射させ、音が音たりうる。
最後にはピアノだけが残る。
Merry Christmas,Mr.Sakamoto!

【追記】
「戦場のメリークリスマス」の音色に明るさを感じたのは初めて。途中、光の反対側にカメラが移動し、坂本龍一の左側を写し始めたとき、月の裏側を覗いているようだった。
もっとたくさんの劇場で上映してほしい。
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