HAYATO

アメリカン・フィクションのHAYATOのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.0
2024年81本目
3月10日のアカデミー賞授賞式に向けて、ノミネート作品を鑑賞!
本日(2月27日)よりAmazon Prime Videoにて独占配信
2001年の小説『イレイジャー(原題)』を原作としたブラックコメディ
作品に「黒人らしさが足りない」と評された売れない小説家・モンクが、半ばやけになってあらゆるステレオタイプを詰め込んで執筆した小説がベストセラーとなり、思いがけないかたちで名声を得てしまう姿を描く。
『マスター・オブ・ゼロ』や『ウォッチメン』など人気ドラマの脚本家として活躍してきたコード・ジェファーソンの長編監督処女作。
トロント国際映画祭で最高賞にあたる観客賞を受賞し、第96回アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされている。
主演のモンク役には、ダニエル・クレイグ版『007』シリーズで頼りになるCIAエージェントを演じたジェフリー・ライト。共演に、『ブラックパンサー』のスターリング・K・ブラウン、『ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢』のトレイシー・エリス・ロス、『デジャヴ』のエリカ・アレクサンダー、『バービー』のイッサ・レイ、『プロミシング・ヤング・ウーマン』のアダム・ブロディなど。
属性で人に何らかの期待を寄せてしまう白人の恩着せがましさに批判的な視点を向けたアイロニカルな作品。
主人公のモンクは、序盤から多方面に愚痴が止まらないほどイライラしっぱなし。
ダメ親父、貧困、ギャング、ドラッグなど「それっぽい」要素を詰め込み、ジョークのつもりで書いたはずの小説がヒットしてしまい、しかも訳あって「逃亡犯」に成りすまさなければならなくなったモンクが、嫌々横柄な態度を取る姿が可笑しい。
劇中であるべき黒人の理想像を物語に求めてしまう白人の身勝手さに嫌悪感を抱き、そのような風刺的描写は「この人種はこういうストーリーでしょ!」という一方的な観念のもとで、リアルの仮面を被ったフィクションを生み出してステレオタイプを助長しがちな映画業界全体へ一石を投じるものであったと思う。
日本語版の字幕表示ミスで「?」マークが異常発生しているせいで、セリフがバナナマンの日村さんみたいな文体になってしまっているので、早急に直してほしい!
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