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サンクスギビングのアキのレビュー・感想・評価

サンクスギビング(2023年製作の映画)
2.9
純粋にエンタメ+スプラッター系としては楽しめた。
楽しめたんだけど、細かな整合性において監督であるイーライロスの粗雑な側面が見えてイマイチ入りきれず。

結句動機の側面が弱いんだよね。
〇が結局犯人だったんだけれども、彼を駆り立てた要因Xがなんともありがちな〇への〇という安さ。
そしてこれだけでは流石に説得力が欠けると思ったのか、+αの〇で彼の背中を後押しする。
わけだが、それでもなお弱い。
いったいに元は善人であった〇がいかに憎しみを募らせたとて、複数人をしかもあのような残忍な仕置きによってあの世に屠るなどということが考えられようか。
しかも犯人である〇にしたってその根を探ると、結句のところ〇〇〇で、〇にしろ攻めを負う部分もあるのだ。
つまりこうした事情から当タイトルの整合性は”人間”という側面においてやや破綻、というか性急であり、その性急さは監督のイーライロスの粗雑な本質に結びついているような気がしてならない。

それを補完するのが例えば冒頭の描き方ね。
これもいただけない。
ってか何やってんの、これ。
群衆が安売り?のスーパーマーケットになだれ込んで、おしあいへしあいの流れの中大量に詰め込んだショッピングカートで轢かれて潰れたとある女性の頭、その折、髪がタイヤに捲込まれ、そのまま引っ張られた挙句に皮膚がめくれて脳みそが露わに。
かと思えば、上から圧が加わって、肘がクノジに曲がったとある男もいてしっちゃかめっちゃか。
物語上不必要とまでは言えないので、強くは糾弾できないが、もっと品…というか落ち着いた描写をしてくれないと、このレベルでは正味な話、見てらんない。
序章のそれ以降はある程度本気(といってもいつもと同じだが…)を感じられたので、それと比肩するに序章の描写はイーライロスに変わった別の素人さんが撮ったのではないかと疑ってしまうレベルだった。

後、あれだ、犯人がようよう露わとなる段でも、これ…ちょいと時間飛んでね!?
順序的に〇が△を追っていたはずが、△が到着した先に〇があのような形でいるっておかしくね?!
いろいろ理由付けすれば、ありえるのかもしれんが、まずもって浮かんできちゃうのがイーライロスの悪いテキトーグセ、それを即時に鑑賞者に勘繰らせた時点で彼はタランティーノにはなれないのだしむろんのことノーランにもなれないのだ。
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