ゾロ

無名のゾロのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
4.0
ヤバい!!
痺れたー 秀逸すぎる
鑑賞後、すぐもう一回観たくなる映画だった

振り返ると、無駄なシーンがなさすぎて
えっ?あれもメタファー?と思い返すシーンが
多すぎて、真意や意図をどれぐらい
理解出来たのか?
正しい鑑賞が出来たのか?
疑問に思うレベル

是非、再見したい!!

先ず、設定
1938年の上海から 1946年の香港まで
正直、辛亥革命から日中戦争までの
期間におけるWスパイの物語と
勘違いしていたので、北伐や国共合作など
中国国内の混乱がメインで日本軍の関与は
描かれないと思っていた…
(袁世凱、孫文から軍閥、蒋介石の時代が
 描かれると勘違い)

実際は、国民党、汪兆銘政権、共産党が
入り乱れる混乱の時代(日本も多いに関与)

誰が敵で誰が味方なのかも分からない
緊張感がある殺伐とした冷たい世界

愛する人とも別れ別れ(敵にもなる)になる
それは、国のため、自分の主義主張のため
信じる"何か"のために命を賭して闘う
【名も無き】彼等の物語(胸熱)

コレは、本当に見事で
登場人物は、ほぼ実名がない…
つまり、今の時代を築く為に命を賭けた
無名の先駆者達(英雄)が描かれる
タイトルの『無名』たる所以かな
蒋介石や東郷は名前だけで
毛沢東は名前すら出ない
ルーズベルトは犬の名前…

そして、賛否分かれそうな
【絶妙なグチャグチャ感】
登場人物の名前も相関図も不明のうえに
時系列まで乱したパズルのパーツが
冒頭から、矢継ぎ早にばら撒かれる

本作が秀逸なのは絶妙なボヤかし方!!

パズルの断片のように時系列無視で
ランダムに並べられたシーンや
違和感がありすぎる画面転換

結局、仕掛けが見事すぎて
ぼんやりとしていた世界の解像度が徐々に
上がっていくのに、謎の中を迷走してる…

そして最後に、ど真ん中のピースが
填められた瞬間にすべてが明らかになる
ゾワゾワ感と爽快感(腹落ち)が
難解な物語でありながらも堪らない

総じて、バラバラな内容(パーツ)の
その一つ一つに意味があり無駄なシーンが
一つもないと気づくと、見直したくなる

無名という題名には、作中の会話にもあった
時勢に逆らうことはできない…
それでも闘い続ける …
彼等の想い、哀しみ、信念、虚無感

メタファーのメモ
①ネクタイ=偽りの自分
冒頭にもある重要なシーンで
婚約者の彼女にも
「キチンとした身なりが気に入らない」と
言われていた
裏切りの象徴とも思える

また、
「あなたはその軍服を脱いではいけません」
このシーンでは、ノーネクタイ
明らかな対比であり、
彼本来の姿が明かされた瞬間でもある


②犬
三種の犬が出る
ルーズベルトも名付けられる犬
片足を怪我したうえ、被曝してしまう犬
牢獄で吠えまくる犬から、日本の傀儡政権


③梅の風呂敷包と赤い服
梅は日本のイメージ(要人情報で確定かな?)
投獄後の服が赤い事から共産党を連想
寝返った(協力者)の暗喩と思われる


④カメラアングル
特徴的なカメラアングルが多く
囚われ(解放)、空(自由)、窓やドア(束縛)
上空(俯瞰)、物陰(心理描写)


⑤BGMと無音
疑惑が確信に変わる心情を表すBGM
傀儡政権として吠えまくる犬の声(日本)
敢えて心情を隠し偽り時の無音


⑥ホテルの部屋は番号ではなく…
日本語だったように見えた
後に、日本からの指示と判明して
監視下での行動と判明する


中国の近代史がわからんと
そもそも何の話か?解らない事が難点…

日本の軍人が言うシナ(china)は
中国の事であったり
労働者の未来とは、支持基盤の共産党であり
ブルジョワな国民党批判だったり
独ソ不可侵条約の破棄や真珠湾攻撃
第二次世界大戦に参戦した列強や日本
重慶は蒋介石の拠点

説明は殆どしてないので
事前知識があると言葉の真意が理解出来る
ゾロ

ゾロ