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トラペジウムのマテのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
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真面目にちゃんと観たわけじゃないが、主人公の性格はそれほど気にならない。目的があって、その手段として人を集めているのだから、まあそうなるよねという感じ。「友達」というワードを使ったのが悪かったね。「仲間」とかなら許されたかも。終盤に反省してるのもえらい。
ただ一つだけ、ドン引きしたポイントがあった。それが主人公に「恋愛ってそんなに大事?」と聞かれた亀井さんの返事。「大切な人ができればわかるよ」だって。何それ。「私にとってはね」じゃなくて?
主観で話せ。「そうじゃない人もいるけど、私にとっては恋愛が大事なんだ」という考え方をしてくれよ、お願いだから。そう言われれば納得するから。なぜ自分の感覚が当たり前だと思えるんだ。あなたのそれは無意識の抑圧だと自覚してくれ。
「大切な人がいること=恋愛をすること、恋愛の良さがわかることなんだよ」みたいな主語のデカい物言いが… というか、それを疑問にすら思っていない、そうではない人もいることなんて考えもしない亀井さんのあの感じが、なんかもう本当に気持ち悪いなと。気にしない人々。気にしなくていい人々。気付けないままでいられる人々。終盤のセリフだから余計、澱のように心に重く溜まってしまった。
恋愛を介在させなくても、大切な人をつくることはできる。その人に対する愛はどういう種類でも本物に違いないのに。
とはいえ亀井さんのような恋愛に何の疑問も持たない恋愛中心主義的な世界観で生きる人間が多分マジョリティな世の中なので、その辺に拒否感を持たないで生きていかなきゃいけないなぁとは思う。理解のなさとか配慮のなさとかに神経削られながら生きるの嫌だし。
主人公はアロマンティックなのかな。なんかその辺りの恋愛観というか、アイドルとして生きられる人間の素質とかを、セクシュアリティなんかに絡めて対比してくれたりしたら深みが出て面白いような気はするが、あくまで「私はそう思う」というだけの話。
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