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トラペジウムのmitakosamaのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.4
初週は面倒くさくなって見に行かなかったんだけど、1週間の間に賛否両論の声が大きく、これは逆に見に行かないとと思い劇場へ。
ナルホド全体的には凄い良く出来ているのに、否定的意見が多いのも理解できる。

とにかく主人公がサイコパス過ぎる。

アイドルになりたい主人公は自分の目的のために近隣の東西南北の高校から美少女を集め“友達”になり、後のアイドル活動のイメージアップの為にボランティア活動に友達を巻き込み、運良く地方タレントからアイドルグループに。ついて来れなくなった友達を罵り解散。
主人公は挫折から再びタレント活動へ。一緒にアイドル活動をした仲間達の友情は、星雲“トラペジウム”のように美しかった…という内容だ。

まず主人公が自分の野心のために周りの都合を一切考えず、自分の思い通りにしたがる支配欲の強さがヤバい。気持ちを考慮しない他人を堂々と“友達”と言い張る厚かましさ。
とまぁ、ぶっちゃけ主人公に共感する部分は皆無だし、そもそもそういうキャラクターとして描かれている。

この主人公の行動って、自覚の無い悪意なんだよね。“アイドルになる”を“宗教に勧誘する”に置き換えれば凄い腑に落ちる。
アイドルになれば幸せになれる=この神様を信仰すれば幸せになれる。私が目をつけた友達を自分の手で導いてやる。善意から来る支配欲。

そういう主人公の物語だから、そういう前提として見るのは問題ない。
共感はしないが、物語としては否定はしない。

だが僕が解せない部分は残り3人の良い人ッぷりだ。
理系の可愛い系、おっとりお嬢さま系、いじめられた過去のボランティア系。
この3人は主人公に導かれアイドルになるが、段々気持ちが離れメンタルを壊してしまう。

普通こんな扱いを受けたら、絶対に主人公の様な人間とは距離を置くものだ。
二度と会いたくない!と思うのが人間の自然な心理だと思う。
でもこの3人は良い人過ぎて、主人公を認めて仲直りし友達に戻ってしまう。

イヤイヤあり得ないよ!もう一度宗教に当てはめるが…
友達として近づいてきて宗教に勧誘し、入会したがメンタル破壊され、やっと解脱できた人間が勧誘者と仲直り出来ると思うか?????

むしろ友達のつもりでアイドル活動に誘ったがやり方が悪かったので仲違いをした主人公が、決別された友達の恨みを背負いながらもアイドル道を突き進んだ…なら納得は出来るんだよ。

タイトルのトラペジウム=友情という名目が、実はこの作品の一番ブレてる所なんじゃ無いかって気がしてならない。
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