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正義の行方のyuzameのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
3.0
死刑は執行された。
捜査してた時から
30年以上が経っている。
捜査に関する技術も、制度も、
世の中の常識も
価値観も大きく変わった今。
その今に生きる人が、
あの時を振り返って語る時に、
過去に自分が取った行動に
全くの疑いを挟むことなく
正しかったと言い切る姿には
どうしても、思慮の浅さ、視野の狭さ
そして自己の正当化のようなものを
感じてしまった。

「人(自分)は間違いを犯す」という事に
少しも思い至らない、
至ったとしても
それを口にする、
それを見つめる強さのない人
そして国というものが
権力を付与されて
行使する事の恐ろしさがあった。

一方、報道関係者たちは
現在から見るあの事件
という視点で語っている様子が
見てとれた。

DNA鑑定制度の確立に動いたのは
「間違った人を捕まえてはならない」という
警察の想いも含まれていたとは思う。
でもその「正義」を通すために
別の鑑定結果を取り下げさせる。

犯人逮捕という「正義」のために
拾い集めたものの中にあったものだけで
犯人を決める。

事件の捜査、報道、
その後の裁判に関わった人々の
証言をひと通り見せて
山は越えたかなと思わせてからの
検証報道パート。
この作りは秀逸だと思った。

事件当時に現場を取材していた記者の人が
最後のシーンで
「自分が死ぬ前に、もし願い事が叶うなら
あの日のこの三叉路で・・」
「彼女達を守りたかった」と
言うのかと思ったら
「何が起こったのか見てみたい」と
言ったのが
まじかーーー!って
かなりびっくりした。

彼の中で、
「過去は改竄してはいけない」っていう
ルール設定があったのかな。。と
思い直した。けど。
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