ゆみモン

土砂降りのゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

土砂降り(1957年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

連れ込み宿を営む妾の子、松子・岡田茉莉子。
勤めている役所の同僚(佐田啓二)と結婚話が進んでいたが、松子の家庭事情が明らかになると、男は破談にし、母親の言う通りいいところのお嬢様と結婚する。
松子が本当のことを言い出せないでいた気持ちは理解出来る。
それを「騙されていた」と一方的に受け取る男のずるさ、身勝手さ。
佐田啓二は、初っ端から情けなくてだらしないダメ男を見事に演じている。

男に捨てられた松子は、母や時折訪ねて来る父も嫌になり、投げやりになって家を飛び出して水商売の道に。
岡田茉莉子の、キッチリした役所勤めのお嬢さんから、水商売の妖艶な女性、男と再会してまた溺れていく堕ちていく女…の演じ分けが見事だ。

妾として、三人の子どもを育てて来た母・沢村貞子も、連れ込み宿を切り盛りする女将の姿から、ラストの男と別れたくないと女をあらわにする姿など、さすがの演技だ。

弟・竹之助、妹・梅子もそれぞれのキャラクターがいい味を出している。

いつの時代にも有りがちな男女の痴情話かもしれないが、時代を感じさせる情景や風俗、俳優の演技力…等で単なるメロドラマには終わっていない。