Omizu

Shahid(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Shahid(原題)(2024年製作の映画)
3.3
【第74回ベルリン映画祭 フォーラム部門CICAE賞】
イラン出身、ドイツ在住のナルゲス・カルホル監督の長編二作目。ベルリン映画祭フォーラム部門に出品され、CICAE賞とカリガリ映画賞の二冠に輝いた。

ゴリゴリの実験映画で笑っちゃった。ミュージカル、演劇などをランダムに混ぜ込んだ実験作品。とにかく手数が多い。それを肯定的に捉えるかどうかで評価は変わってきそう。自分としてはそこまでかな。

自分の名前に入っている「Shahid」を変えたいという女性、名前そのままなので監督自身の分身ですね。彼女は改名したいが、複雑な手続き、さらにご先祖様まで絡んできて…という話。

なのだがそこに映画を撮るというメタ映画的アプローチも入ってきて観ている方が混乱してくる。なんだこれは。

移民である自分のアイデンティティーを疑うという話自体はよくあるものの、すごく変わったアプローチをした演出によって「何か得体の知れないもの」には仕上がっている印象。

ただ個人的に虚実ない交ぜになった描写は好きなのだが、その手法があまりに乱雑に感じた。奇をてらいすぎているというか。何より話が動かないので面白くないというのが大問題。

アプローチは興味深いし、他ではないタイプの個性的な作品ではあるが好きではないかな。監督の才能には要注目だと思う。変わっていることは間違いないので、これからどんな作品を生み出してくれるかに注目かな。
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