櫻イミト

ドリアン・グレイ/美しき肖像の櫻イミトのレビュー・感想・評価

2.5
劇作家オスカー・ワイルドの代表作「ドリアン・グレイの肖像」(1890)の二度目の映画化。物語の舞台を現代のロンドンに翻案。監督は「ソランジェ 残酷なメルヘン」(1972)のマッシモ・ダラマーノ。ヘルムート・バーガーの「地獄に堕ちた勇者ども」(1969)の次作。

友人の画家のモデルを務めていた美貌の青年、ドリアン・グレイ。やがて肖像画は完成するが、絵は若いままなのに自分は老けていくと不平を漏らす。そんなある日、恋人のシビル(マリー・リシュダール)が突然事故にあい・・・彼の堕落と老いは肖像画の醜い変化となって表れていく。。。

最初の映画化であるリューイン監督版(1945)が好きなので、比べてしまうと本作には深刻さが足りなかった。設定を現代に翻案したことで登場人物も肖像画もカジュアルになり軽く感じられた。演出も話の転換点で決めがなくメリハリに欠けていた。前作を未見で鑑賞したらもっと楽しめたのかもしれない。

ヘルムート・バーガーが好きであれば、様々な衣装や裸が続出するので興味深いと思われる。

本作の脚本兼プロデューサーのハリー・アラン・タワーズは、ジェス・フランコ監督の「悪徳の快楽」(1969)「吸血のデアボリカ」(1970)を手掛けた人物で、本作の出演者の多くは両作と被っている。本作もフランコ監督にオーダーしたが、既に「デアポリカ」で見出したソリダッド・ミランダの主演作「シー・キルド・イン・エクスタシー」(1970) 「ヴァンピロス・レスポス」(1970)の制作に集中していて断られた。もしもフランコ監督が「ドリアン・グレイ」を手掛けていたらどのような作品になったのか?それも観てみたかった。
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