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マネーボールのタキのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
3.7
アメリカのメジャリーグで華々しく活躍しているエンゼルスの大谷選手やレッドソックスの吉田選手と鳴り物入りで入団したものの近年は阪神タイガースで思うような成績を挙げられず渡米し現在苦戦中のアスレチックスの藤浪選手の違いを一瞬で理解した。なるほど藤浪はアスレチックスにとってお買い得になるかもしれない選手だったわけだ。映画ではシーズン途中でバンバン売りに出したり肩たたきするシーンが出てきて日本よりかなりシビアだった。どうか早く結果だしてと祈らずにはいられない。
さて、物語は2000年代、オークランドアスレチックスのGMビリー・ビーンはスター選手がFAでごっそり抜けた穴を埋める方法を模索していた。スカウトたちとの会議は堂々巡り。長年培われた野生の勘はどれも決定打に欠けている。1番イタイのはいわゆるスター選手を獲得するにはこの球団は資金不足なのだ。ある日ビリーはトレード交渉に出かけたクリーブランド・インディアンズでイェール大学出身のスタッフピーター・ブランドと出会う。彼はデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法(セイバーメトリクス)を語る。インディアンズではこの手法を使えていないらしいのだが、ビリーはそこに活路を見出す。他球団とは違った価値感で必要な選手を安価で集めてチーム編成をやろうというのだ。出塁率の高さから目をつけた捕手をFAで抜けた一塁手の代わりに獲得するアイデアから始まり素行不良のスター選手の弟、引退間際の年齢高めの元スター選手など…やっぱり古参のチームスタッフには全力拒否され、連敗が続いてもビリーオススメの選手は一向に使われないのだった。あれだけ選手を動かす割にはなんで監督を解任しないのかちょっと不思議ではあったが、アスレチックスだと監督のなり手もないのだろうか。ビリーは監督が使い続ける一塁手を他球団に放出するという荒療治でなんとか軌道にのせ、20連勝する快挙を成し遂げるが、あと一歩のところで優勝を逃す。この功績からボストンレッドソックスからの高額のオファーを受けるが、青年の頃スタンフォード大学進学かメッツ入団か迷い、金のためにメッツに入団した苦い経験からお金で左右される決断には乗らないと断る。その後、ビリーはいまだオークランドアスレチックスに上級副社長としているそうだ。夢は終わっていないのだとちょっと胸が熱くなる。
ビリーを演じたブラッドピットも俳優のかたわら自身の主演作以外のプロデュース業を精力的に行なっておりヒット作を生み出している。このブラピのパブリックイメージと重なってさらに説得力が増す。セルフプロデュースもブラピは上手い。
ビリーが見たモニターに一瞬だけイチローが映るという日本人にはテンション爆上げシーンがあるのだが、一年目から素晴らしい成績をあげ、年俸も高く、スター選手の象徴なのだそうだ。カッコ良すぎる。
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