このレビューはネタバレを含みます
タイトルに聞き覚えがあるのと、サムネイルにジョージクルーニーの顔があったので試聴することに。最近、見ていない古い映画が見てみたくなることが多々あるが、精神的な疲れと、老いの影響だろう、、、
昔ながらのやり方で、足で動くスタイル、その道の大ベテランと、新たなテクノロジーと理論で挑んでくる怖いもの知らずの将来有望な新人との対決。
ベテランの方は、時代の遺物、老害的な見られ方。
新人の方は、ゲームチェンジャー、デストロイヤー的な見られ方。
見る人の世代によっては、どちらに加勢しながら見るかが決まってくる。
水と油のような二人が、一緒にアメリカ中を飛び回る旅なので、そのバチバチの攻防を楽しむかと思いきや、二人に共通しているリストラ代行という立場からは、ベテランであろうが新人であろうが、首を切られる人々にリストラを告げることには変わりはなく、、、そこから考えさせられる、仕事とは、結婚とは、家庭を築くということは、一人で生きていく人生とは、、、そんな万人に共通する人生におけるシンプルかつ大きな問い。そのことに、成功者の代表例とも思えていた主人公の自問自答が始まっていく。
自由であることは、人から自由を奪っていく人々とのしがらみから如何に離れられているか。
親、兄弟、親戚、地元の友人、知人、、、
それらから離れれば離れるほど、人は自由になっていく。
湿っぽく、粘っこく、僻みっぽく、閉鎖的で、諦めが満ちている地元というか故郷の空気。
そんなものから、解放されていく。
それは快適で充足に満ち、ステイタス、成功者、そんな感覚で満たされていく。
自由って最高!
そう、最高なのだ。
最高、なはずなのに、時折、悪寒のように、虚無がこちらを覗き見ているような視線を感じる。
地元、ホーム
そんな場所に居ることが与えてくれる安堵と安定
良くも悪くも、一員であり、自分のことが最低限知られているのである。
地元という安定剤
成功した自分にはそれが欠けていたことに気づき、手に入れようと今を捨てたのに、、、
掴みかけた瞬間で、掴み損ねてしまい、孤独の谷底へと突き落とされてしまう
毎度のことだが、作者の意地の悪さに見てるこっちが転がされてしまう。
さあ、どういうラストで溜飲を下げてくれるのか!?
思い出せない、、、数日経っただけなのに、記憶が、、、
(ラストを見返す)
長年、手に入れたくてしょうがなかったモノを手に入れるも、すでにそれは最も手に入れたいものではなくなってしまっていた、、、
しかし、最も手に入れたくなった新たなものは、手に入らないことがすでに判明している。この先、どうすればいいのか、と悩みつつも、地球は回転を止めず、次の1日でその前の1日を押し出してしまう。
多くの人々が家に帰り、恋人や夫婦、家族と夜を過ごすのなら、俺の家同然の機上で、夜空に輝くどの星よりも輝いてやろうじゃねーか
それはヤケクソのようで、ヤケクソではなく、気付けば誤った道のりを歩いてきてしまっていたことそのものを受け入れ、そんな大馬鹿野郎のこれまでの自分を許し、最も手に入れたいものを潔く諦め、今の自分とそしてこれからの自分とをありのままで居ることに落ち着く、といういたって穏やかで力みのない状態。仏教で言うところの解脱できた状態というか、そんな感じなのだろう。
もし、ジョージクルーニーの役と同年代で似たような状況にいる人は、見終えた後、すごく清々しくなれるのではないだろうか。そう思うといい映画である。なので、評価を少し上げることにする。