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ランウェイ☆ビートのodyssのレビュー・感想・評価

ランウェイ☆ビート(2010年製作の映画)
3.8
【まっとうな青春映画】

多少の欠点はありますが、長所がそれを上回っていて、佳作と言える映画になっていますね。

まず欠点から言うと、展開のご都合主義(クラスの生徒たちの意向がコロコロ変わる)と、廃校を校長が決める(って、ふつうナイでしょ。公立なら教育委員会、私立なら理事でしょ)というトホホな設定ですけど、まあその辺は大目に見ることにして。

一つの目標に向けてクラスの全員が一致団結していく、という青春映画の王道をふまえたストーリーが、まずよろしい。そしてこの作品ではその目標がファッションショーだってとこが、私には斬新に見えました。時代性が如実に感じられる。私みたいな年寄りが高校生だった頃には、こういう発想ってなかったな。面白い。

そして、ヒーローのビートくん(瀬戸康史)が、父に反発しながら、しかし最後は自分も同じ状況に立たされることによって、大人の仕事とは何なのかを理解していくという筋書きもいい。

女優陣もかなりのものです。
桜庭ななみちゃんは、特に取り柄があるわけでもない平凡な女子高校生役ですが、普通の女の子の持つ素朴な魅力を十二分に表現しています。おまけに最後は○○姿を披露。『最後の忠臣蔵』に続けて、って感じですね。

桐谷美玲さんは、すでにファッションモデルとして活躍していてちょっと高ビーな女の子という役。桐谷さんは、『君に届け』ではヒロインの仇役、『ジーン・ワルツ』では未婚の母と、美形なのに正統派ヒロインからはちょっとズレた役どころが多い気がしますが、今回もその点でいくと同じ。でも、この映画では高慢であると同時にそれなりの悩みを抱えているという点で、ななみちゃんと並んで立派なヒロインになっている。それほど背は高くないようで(調べてみたら160センチ台前半)、他の生徒と一緒だと大柄には感じませんが、ファッションの舞台では脚がすらりと長くて背が高く見える。逆に言うと、ちょっと痩せすぎじゃないかと。その点、ふっくらしたななみちゃんと対照的なんですが、年寄りとしてはもう少しちゃんと食べたほうがいいんじゃないのと余計なお節介を口にしたくなる。

そのほか、ダサそうに見える女の子がメガネを外して髪型を変えると実は、ってありがちなパターンもしっかり用意されています。女の子だけじゃなく男の子にも。その点でも、この映画、ファッションの映画なんですよね。

田辺誠一や吉瀬美智子などの大人の俳優もしっかり脇を固めています。
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