〈 それはナイフのようなものだ。刃をにぎるか柄をつかむかで、われわれを傷つけたり、役にたったりする。 〉
1947年にパリで実際にあった、脱獄事件の映画化。
実行犯の一人は、のちにこの脱獄劇を本に。
一人は、この作品の主演の一つをつとめている。
監督は、当時フランス随一と謳われたジャック・ベッケル。
彼の遺作であり、最高傑作ともいわれている。
白黒の世界に、名もなき囚人たち。
ひたすらに粗末な道具で、ひたすらに彼らがコンクリートに立ち向かう姿は、この映画のすべてと言っていいかもしれない。
最後のロランのセリフが、彼等の罪人なれど「人の品格」を思わせる。
傑作です。