nori007

ちょうちんのnori007のレビュー・感想・評価

ちょうちん(1987年製作の映画)
4.5
80年代にあった、ネオヤクザブーム。その中でも最高傑作なのが金子正次さんの「竜二」をブラッシュアップした今作だろう。

ところが今見ると、冒頭から恐喝描写やDV描写のオンパレードなので、こうした行為は否定される現在ではとても正当化出来ない(いや当時もか)ので、今見るのは結構つらいものがあるのも事実。
しかしあくまでもこの映画は、ヤクザ社会を否定する展開となっているのが救いだと思う。
この映画の素晴らしいのは、BGMが全編エヴァン・ルーリーのバイオリンというところ。これによって切なさや、哀愁や、緊張感をすべて表現している。これはこの映画の発明と言っていいと思う。
そして役者陣の熱量のある演技も素晴らしい。逃走シーンなどはアポ無しゲリラ撮影であることがわかるので、ほぼ本物の映像といっていいだろう。
そして荒っぽい演技の中にある繊細な心理描写もとてもよく出来てる。本当に素晴らしい。

こんな名作にもかかわらず、今だにDVD化されておらず見ようとするならVHSだけという。
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