mh

箱根風雲録のmhのネタバレレビュー・内容・結末

箱根風雲録(1952年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

深良用水(箱根用水)についてのエンタメ歴史もの。
山本薩夫、前進座とわかるひとなら一発でどういう繋がりか見抜ける布陣。
原作者の高倉輝も左翼の大物言論人とのこと。
•反体制
•労働運動
•労働者の一致団結
このあたりがテーマであるものの、悪い奉行、幕府の隠密、山賊の首領、貧困農民、金策などの要素がいい味付けになってる。ラストまでハラハラドキドキの連続で一級のエンタメ歴史ものに仕上がっている。
ピンチに次ぐピンチで、こんなん絶対あかんやんを何度もやるので、打開の瞬間が盛り上がる。
農民の気づきと資金の調達成功のくだりがクライマックスでもなんら不都合ないのに、
•山賊たちの抵抗からの全滅
•開通!
•主人公の処刑
と、立て続けに起こるのが凄まじい。
資金難と関係者の協力は、山本薩夫の映画制作とも底通しており、現実をメタ化したかのような内容になっている。そのせいなのか伝わってくる熱量もハンパない。
大量エキストラと豪華セットも相変わらずで、180度カメラがパンしても続く飯場の風景は必見の部類。
湯水のごとく人間と投入する共産圏の大作映画を彷彿とさせるのは偶然じゃなくって、低賃金で人材確保が可能だからなせる技なんだけど、画面でも現実でも給料未払いによるストライキが起きているという皮肉かつ山本薩夫映画ではお馴染みの情景も味わえる。
•状態の悪いマスターフィルムからのDVD化。
•ビスタサイズをスタンダードサイズにカット。
このマイナス要素がほんともったいない。いまからでもなんとかならんか。
ラスト近くにある明らかに特撮の川とかなくてもいいのにーと思ってたら、ゴジラを手がける前の円谷英二とのことでした。
山本薩夫のすごいところは、名作が軒並み埋もれてるところ。
これは相当面白かった!
mh

mh