1930年代のイタリアの港町。四季を通じ描かれる、少年チッタとそこに暮らす雑多な人たちの一年間。
一つのストーリーを深追いせず、断片的なストーリーが断続的に重ねられる。フェリーニの散文詩を映像化したような作品だが、登場するのはドタバタで風変わりな市井の人たち。取り残された気持ちになることなく一瞬で引き込まれた。
泥臭いコメディタッチが、生の愛おしさと寂しさの輪郭を浮かび上がらせる。フェリーニがクストリッツァに与えた影響を色濃く感じた。ニーノ・ロータの音楽も素晴らしい。
時代も国境も異なるが、私の頭の片隅にある子供の頃の記憶が映像を通じて呼び起こされた気がした。