Inagaquilala

ブルゴーニュで会いましょうのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.7
いくら高名なワイン評論家であっても、いきなり実家のワイナリーに戻って、1年目から美味しいワインをつくりだすなんて無理だろうと、思わず突っ込みも入れたくなるが、ぶどう畑をつくるところからワイン醸造までを、ラブ・ロマンスも交え、巧みにドラマ化した作品。

ワイン評論家としてガイドブックも出し、世間の評価も得ている主人公が、実家のワイナリーの経営危機に際して、自ら故郷のブルゴーニュ、コート・ドールに戻り、ローマ時代の昔ながらの製法でワインづくりに挑戦する物語。

隣家のワイナリーのひとり娘との一夜限りの情事から、道ならぬ恋にまで発展する展開には、出来すぎた感じもしないではないが、このヒロインが芳醇な赤ワインのように魅力的なので許そう。

ドラマを追ううちに、いつの間にか、ワイン醸造の過程をのぞくことができ、観賞中に何度もグラスを傾けたくなった。登場人物たちが、みな美味しそうにワインを飲むのにも大いに感心した。

コート・ドールの四季もしっかりと映し出されており、見事なワイン・ストーリーズにもなっている。偏屈な主人公の親父役が、なかなかいい味を出しており、ある意味でその親父を乗り越える「成長物語」ともなっていて、カタルシスも得られる。

観光映画であり、グルメものでもあり、ラブ・ロマンスでもある。なにより何も考えずにスクリーンに向かえる作品。悪くはない。
Inagaquilala

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