MoviePANDA

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳のMoviePANDAのレビュー・感想・評価

3.8
『SILENCE -望み- 』

復讐シリーズ4作目にして、いよいよシリーズ最終作。前3作との直接的なつながりは感じられず、言うならば直近の前作『蛇の道』との同時派生作品といった趣。共通項は、復讐が描かれる点と主人公が新島というところ。

まず面食らう展開として、このシリーズにおいての共通項でもある重要部が序盤にいきなり登場する。だからこそのその後の虚無感は『消えない傷痕』と比べ物にならない。果たされているという事は、復讐を誓った者にとっては“あがっている”という事になるから…

「なるほど。この4作目は目的を見失った人間の人生においての虚しさを描くのか…φ(゜゜)

この作品を観たら、多くの人がおそらくまずこう思ってしまうかもしれない「わけがわからない…」と。
いわゆる一見した状況においては、ボクもそう思った。それ程にシュールとも思える展開。それは前述した“人生の虚しさ”も描いてはいる。いるのだが…

嗚呼、これはシリーズ集大成なんだ。
『運命の訪問者』での復讐における、冷酷無比さ。
『消えない傷痕』でシュールに描いた人生の空虚さ。
『蛇の道』での読めないストーリーテリングと娯楽感。
そして、1·2作目における横移動のカットと、3作目での空間表現。シリーズ通して登場した長回しの更なる洗練。

ここまでくるとこの映画をジャンルで線引く事はナンセンスに思え、ただただ監督のいい意味での確信犯的やりたい放題に付き合おうという思いに落ち着く。大杉漣のしつこい左右移動は、笑ってしまったし、菅田俊との追っかけっこは長いのに見入ってしまう。かと思えば、唐突に現れる恐怖の幽霊表現。

この段階で、シュールさを以て虚しい人生を描くこの作品のノリを大いに楽しんでいる自分に気付く。気付いたのだが…

それをまた、良い意味で裏切るんだこの映画!
今作においてのかなりのシュール度高しキャラに良い事語らせちゃう。その言葉は、全く以て直接的ではないにせよ、静かに希望を立ち上げる。立ち上げるのだが…

その後にまだまだ、衝撃な展開…o(__*)

なんなんだ、この映画は!!!!!!!!!!!!

客観的に見て、娯楽作としての強度は前作『蛇の道』が圧倒的で圧巻だが、「シリーズの中でどれが好き?」って聞かれたら思わず「これ!」って答えてしまいそうな、不思議な魅力に溢れた映画。そしてこの映画が終わった時には、すっかりこのシリーズのファンになってる事に気付くボクなのでした(´・∀・)
MoviePANDA

MoviePANDA