ひれんじゃく

ケープ・フィアーのひれんじゃくのレビュー・感想・評価

ケープ・フィアー(1991年製作の映画)
3.9
ぼーっとオープニングを見てたら監督名で二度見した。スコセッシか〜〜〜〜〜い!!!!キングオブコメディとかタクシードライバーとか沈黙とか最近だと(見られてないけど)キラーズオブザフラワームーンの印象が強いのでゴリゴリのスリラーも撮れるのすごい。硬派というか社会問題や人間の芯に切り込むタイプの作品だけじゃなかったんだ…………以下ちょっとネタバレ。



















スコセッシのオキニだけあってロバートデニーロがまたヤバい男役をやらされてるけど段違いにヤバくてブルブルブルブル震えながら見てた。みんな演技うますぎるんだけどやっぱりロバートデニーロがちでやばいな。タクシードライバーの主人公ともまた違う方面に怖くてこれ劇場で観てたら汗だくになりそうな気がした。椅子の色が変わるくらい。

こいつはとにかくヤバいやつです!!!!という表現がうまい。何をやってもどこへ行っても振り払えずしつこくついてくるこの恐怖。主人公が弁護士でお金も理性も知識もあるはずなのに常に裏をかかれることで怖さが激増する。こんなんどうやったら勝てるんだ…???「犯罪者が哲学をやってるとヤバく見える」という演出のために哲学が使われてて腹立たしくも興味深く思った。やはり世間から見ると哲学ってそういう立ち位置なのだろうか。でもスコセッシのことだからなんかしらの意味を込めてそうで怖い。なんだかんだで主人公がケイディとほぼ同レベルの思考に至ってるのが余計に怖さを煽る。こいつ絶対法で裁けないだろ…感はまああるにせよ、殺意に呑まれて暴力性を剥き出しにして石を振るうその姿に弁護士もへったくれもなくてマジで怖かった。やってることがもうケイディと同じなんだよなあ…………家族が危険に晒されてて守らないといけなかったとか、そういう部分で弁護できないレベルに醜悪な姿で殴打してたのがかなりショックだった。

ケイディは犯罪を犯したので当然裁かれなきゃならないんだけど、ボーデンもボーデンでケイディに私的な感情を挟んでしまい弁護人の義務をきちんと果たさなかったという意味で脛に傷があるのでややこしくなってるのがすき。ストーカーされる理由がきちんと作ってあるのがまた………実際問題としてこういう凶悪犯であっても私情を挟まず仕事をしなくちゃいけないのが弁護士で、被告人はその利益を享受する権利があるっていうことの難しさというか困難さを感じた。自分の娘と同じくらいの子供をレイプした犯人を弁護しないとってどんな気持ちなんだ…?ケイディが長い間ムショに行くことになったのは完全に身から出た錆ではあるものの、だからといって弁護士が不当に証拠を隠すことは擁護できることではなく…………

娘さんと接触を図るシーンでキモさが最高潮に達した。演者のケアがちゃんとしてるといいな………
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