ブロンクスの汚職刑事の映画といえば【セルピコ】の例を出すまでもなく、公権力を笠にきて上手く立ち回れば、仕事をサボってあらゆる欲に溺れて金にもなる生活が送れるが、真っ当な刑事はそうではない。
短期的にはこのH.カイテル演じる警部補の方がむしろうまく環境に順応しているとも言える。
あの修道女のレイプシーンはてっきりラリった彼の幻影だと思ったら、そうではなく抜き差しならなくなった野球賭博と対を成す、この物語の告悔側の主軸だった。
もしかしたら元々は敬虔深い真面目な刑事だったかも知れない。
きっかけは奥さんに減らされた小遣いだったのかもしれない。
ドジャースが負けて手に負えない巨大な借金を抱えたから、シスターを襲った犯人を捕まえたのにも関わらず、なけなしの3万ドルを掴ませて逃す事が功贖罪になるというトンチンカンな結論に至ったのだろうか?
Trump Plazaでのラストシーンは、今となっては中々見れない真正の滅びの美学、ハードボイルドだった。
まあNewyorkerならMetsにbetしなよ、とは思う。