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動乱のyadokariのレビュー・感想・評価

動乱(1980年製作の映画)
3.2
『226』の群像的に描いた2.26事件に物足りなさを感じたので。この東映映画はスターシステムの中で、高倉健&吉永小百合という二大スターを据えて2.26事件を描いていた。またこの映画は東映らしく下士官の将校が上官に不満を溜めて爆発させるという「仁義なき戦い」版2.26事件みたいだった。ただ健さんの映画になっているので、青年将校というよりは中年将校という感じで、青年将校の主張よりも寡黙タイプのヒーロー(悲劇)なので実際の事件とは違ってオリジナルな脚本だったのだろう。

朝鮮へ渡ったときに売春婦となる吉永小百合と出会うのだが、自殺したのに朝鮮から戻ってくると夫婦のようにな展開がよくわからなかった。吉永小百合しか女優はいないのかと思ってしまったが、そのぐらい当時は国民的女優だったのだろう。最初の貧困のために売られていくおぼこ娘(どうしても無理がある)から大河ドラマ的に出ずっぱりなんで、高倉健&吉永小百合というスターの映画なのだ。懐かしの顔として、桜田淳子が青年将校と結婚するお嬢さんの役をやっていたが、目立つ女優はこの二人ぐらいだった。

ストーリーはご都合主義的なスター・システムの映画だが、楽しめる。高倉健の映画であって、2.26事件を忠実に描いたとは言えないが。物語の展開は、前半は不合理な仕打ちに耐えていく健さんが後半で爆発して事件になるという悲劇のヒーロー物語になっている。
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