ガブXスカイウォーカー

直撃!地獄拳のガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

直撃!地獄拳(1974年製作の映画)
3.4
《あらすじ》
警視総監だった嵐山(池部良)は国際麻薬組織殲滅のために、甲賀流忍法第二十四代宗家かつ拳法・空手の達人である私立探偵の甲賀龍一(千葉真一)、嵐山の部下で麻薬課の刑事だった殺し屋の隼猛(佐藤允)、合気道師範だが殺人を犯し死刑執行を待つ身の桜一郎(郷鍈治)、彼ら3人をスカウトするよう、姪の恵美(中山ゆたか)に手配させた。甲賀と桜は仕事が胡散臭く断るものの、嵐山が提示した報酬に心変わりし、引き受ける。甲賀たち3人は子供みたいな意地の張り合いをしながらも国際麻薬組織へ果敢に戦いを挑む。だが、マリオ・水原(津川雅彦)率いる組織は腕っ節の強い用心棒たちを雇っていたため、熾烈な闘いが待ち受けていた。

いい意味でも悪い意味でもおバカ映画。ストーリーは雑で、 全編に渡って激しいアクションと滑ったギャグ(本当に笑えない)満載だ。登場人物は奇人変人ばかりなのでまともな芝居をしている役者はほとんどいない。西城正三(元WBA世界フェザー級王者)や倉田保昭は大して必然性もなくアクションを見せるためだけに登場する。
映像面においては、低予算ながらも、千葉真一が天井に張り付いたり、佐藤允に殴り殺された室田日出男の両目が飛び出したりするなど面白いカットも散見する。個人的には、千葉たちに追いつめられた津川雅彦が金髪美女と共に投身自殺するシーンで、落下していくショボい人形をスローモーションで長々と写すカットこそ、本作を最も象徴していると思う。
これらを理屈抜きのハチャメチャさと好意的に受けとめられるかどうかで本作の評価は変わってくる。あるいは、千葉真一の鍛え上げられた肉体と迫力あるアクションさえあれば他にはなにもいらない、と言う方もいるだろう。
残念ながら本作は僕にはくだらないとしか映らず、乗れなかった。だが、石井輝男監督、千葉真一主演の作品群は日本だけでなく、海外でもクエンティン・タランティーノのようなマニアたちに高く評価され、大きな影響を与えたと聞く。『キル・ビル』などタランティーノ作品のルーツの一つとして、本作で鬼才・石井輝男、超人・千葉真一を検証するのもいいのではないだろうか。