ガブXスカイウォーカー

さまよう魂たちのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

さまよう魂たち(1996年製作の映画)
3.9
今作はマイケル・J・フォックスにとって『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』(1990年)以来、久々のSFである。彼の主演作は、出世や金儲けを夢見ている主人公がトラブルを経て本当の大切なことに気づくハートフルコメディ(本人曰く“いつもの路線”)が多いが、今作は過去に妻を亡くし心に深い傷を負っているところがちょっと違う。35歳らしくヘアスタイルも短髪だ。

主人公フランク(マイケル・J・フォックス)は特殊な霊感を持っており、気のいい幽霊たちと組んで、インチキゴースタバスターで稼ぐさえない日々を送っていたが、殺人鬼の悪霊と戦うことになる。自分が殺人犯に間違われて逮捕されたり、一時的に幽体離脱するため自ら凍死しかけたりと笑わせながらも、トラウマを乗り越え、悪霊を退治して、新しい恋人(なんと未亡人)も出来てハッピーエンドだ。やはり歳を重ねて、影があっても、本質はいつものマイケル・J・フォックスであった。観客たちも笑わせて元気をくれる彼を求めているのだ。
でも、今作はマイケル・J・フォックスのパーキンソン病の悪化により、現在のところ、最後の主演映画となってしまったのは残念である。

映像はピーター・ジャクソン監督らしく、不気味なゴーストたちの暗躍する世界を当時のVFXを駆使した表現は、後の『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズへの布石と言えよう。

『さまよう魂たち』はマイケル・J・フォックスのコメディ演技とピーター・ジャクソン監督のホラー感覚がうまく融合したホラーコメディの良作である。ドタバタしながらも二転三転し、張られた伏線が集約するので、最後まで飽きさせはしない。気楽に鑑賞できて後味もいいので、あと一本なにか観たいと言う時にいいだろう。