わらじ

悲情城市のわらじのレビュー・感想・評価

悲情城市(1989年製作の映画)
4.0
日本の占領が終わったと思ったら次は中国の支配が待っていた…という台湾の苦しみの時代を生きた兄弟とその周辺の人々を描く物語

監督がインタビューで言っていたように、歴史を壮大に描くというよりは人々の暮らしや関係性を細やかに描いているけれど、やはりその暮らしと歴史や政治は密接に関係していることを痛感する作り

もちろん悲惨な場面も多いんだけどちょっとしたエピソードでもグッと引き込ませて魅了させる脚本、絵力が本当にすごい
脚本は『少年』でもあった、1人の傍観者としての語り手がいる方式でチュー・ティエンウェンだなぁとわかる
女性であるということで男社会、政治から疎外されているこの語り手・寛美と障がい者であることで同じく疎外されている文清(トニー・レオン)が疎外されているがゆえに共感しあい、心を通わせ、そして生き残る(最後の文清は生死が曖昧なまま終わるが)というのがなんとも複雑な気持ちになる
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