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エル・スールのogiharaのレビュー・感想・評価

エル・スール(1982年製作の映画)
3.5
自分の家族は劇中のオヤジほど拗らせてはいないものの、確かに、当たり前の存在であるはずの家族の、自分が知らない側面が開示されるときの不安ったらない。
しかしオヤジは本当どうしようもない人間だ。オヤジは何か南への思いを捨てきれずコミュ障になってしまい、娘に元恋人のことをはぐらかしたせいで娘との思い出を語っても一蹴されてしまう。それで娘との関係修復ができなかったとさらに落ち込んで自殺したのか?自業自得!とさすがに言いたくもなる。付き合わされる家族がいたたまれない。
と、色々ツッコミどころはあるが、光が印象的な絵は美しいし、語っている主題は普遍性があり、誰しもが多かれ少なかれ共有できる物語だと思う。
エリセ監督によれば本作は、娘が南に向かった後のストーリーが続くはずの不完全な作品だという。しかしここで切断されていることでむしろ彼女のその後に思いを巡らす余地が与えられており、味わい深い。
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