息抜き的にちょうどいいアキ・カウリスマキの気分。
「労働者3部作」の第2作、そして「負け犬3部作」の第1作、とのこと。
炭鉱の閉山で失業したカスリネンは、自殺した父から譲り受けたキャデラックに乗り希望を求めて南へ旅する。
お金をごっそり盗まれたり、濡れ衣で刑務所にぶちこまれたり、相棒が死んだり…と踏んだり蹴ったりな展開。
なのに絶対に悲壮感を勝たせない。それがアキさん流。
規模の小さな事を捉えてるようだけど、「どんな人生もいずれ終わり、また巡るのさ」って神視点で言われてるような。あくまでも温かく。
刑務所で同部屋になるミッコネン(マッティ・ペロンパー)との初対面で彼が無言でカスリネンに煙草やマッチを投げ渡して素直に吸うシーン、シュールで可笑しかったw
2人ともポーカーフェイスで一言も話さないのにすでにグルーヴィーに通じ合ってて。
脱獄がアッサリできちゃうこの感じ、ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』を思い出す。
これのペロンパーって同作のベニーニ的なポジション?展開の原動力というか。
まぁ、カウリスマキスタイルに従って無表情だしあんなにおしゃべりなわけではないんだけど。
これでもかと不条理を畳み掛けつつ人物にはクール&シュールを装わせてどこか抜け感、ラストはほんのり叙情的に。
夜の港とフィンランド語によるOver the Rainbow は邦題ともマッチしてて素敵。