爆裂BOX

ビロウの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

ビロウ(2002年製作の映画)
3.5
第二次大戦中、アメリカ潜水艦タイガー・シャークは、U-ボートに撃沈された英国病院船の生存者3人を救出するが、うち一人は女性で、「女は潜水艦に不吉な災いをもたらす」という迷信通りに艦内で不可思議な出来事が起き始める…というストーリー。
第二次大戦中のアメリカ軍潜水艦内で不可思議な現象が起こるオカルト入ったサスペンス・スリラーです。監督は「アライバル」や「ピッチブラック」のデビット・トゥーヒーで、製作総指揮と共同脚本でダーレン・アロノフスキーも参加しています。
撃沈された英国病院船から救出された生存者の中にオリヴィア・ウィリアムズ演じる女性がおり、潜水艦乗りに伝わる迷信に呼応するように次々と不可思議な現象がおき、死者が出始めていきます。前半はサスペンスタッチで、敵艦との戦闘もありますが、派手な描写ではないですね。艦内で音が出ないように息をひそめたり、機雷が潜水艦の艦体をの上に落ちて爆発せずに跳ねるシーン等はじりじりした緊張感感じました。救出した生存者の中にナチがいたり、前艦長の死を巡る疑心暗鬼と隠蔽の心理劇も全編潜水艦内という密室内で繰り広げられるので妙に息苦しさや切迫感ありますね。修理の為に艦外に出た時に暗い海中でライトの光の中に映の群れが現れる所は「ピッチブラック」彷彿しました。
艦内で起こる不可思議な現象も、レコードが突然かかったり、不気味な声が聞こえたり、艦体を叩く何者かの音が聞こえたりと地味ではありますが、日本の怪談映画の様な雰囲気ありますね。うっすらと現れては消える幽霊もJホラーみたい。鏡の中の自分が勝手に動くシーンはベタだけど、前振りの段階から妙に動きがずれてる所が不気味でした。ジャンプスケアも多いですが。
登場人物は結構多いですが、キャラのたってる人はそんなにいなかったかな。後半、何時の間にか乗組員の殆どが水素爆発で死んでるのは混乱しました。ここら辺は勿体なかったな。クアーズ中尉が死ぬ所も良く分からなかった。キングスリーもあそこで死なす必要あったかな?あれは怨霊の仕業じゃなく事故ですよね?
オリヴィア・ウィリアムズが唯一の女性でヒロインのクレアを演じてますが、男だらけの中に女性一人放り込まれたら貞操の危機な展開になりそうだけど、そういう展開は無くてむしろ最初の方から疫病神として殆どの乗組員から疎まれています。そんな状況でも挫けず謎を解き生き延びようとする芯の強い女性演じてました。マシュー・デイヴィス演じるオデル少尉は命令に背くことになろうとも自分の正義を行おうとする好青年役ですが、主人公だけど地味な存在感でしたね。イケメンだけど地味だった。
ブルース・グリーンウッドがリーダーとしての資質に欠け、犯した罪の自責の念と怪奇現象で壊れていく現館長を演じてますが、後半の壊れっぷりはそこまでではなかったかな。もっとぶっ壊れる感じでも良かったと思うけど。
ジェイソン・フレミングやデクスター・フレッチャー、ザック・ガリファナキス等名脇役も出演してます。ジェイソン・フレミング最初凄い嫌な奴だけど、生き残ったのは良かった。
後半で前艦長の死の真相や、撃沈したドイツ軍艦の正体などの二転三転する謎解きは面白かったですね。
途中でちょっと中弛する所ありますし、全編通して地味な印象の映画ではありますが、日本の怪談映画っぽい雰囲気あって個人的には好みの作品です。