hikumahika

永遠の人のhikumahikaのレビュー・感想・評価

永遠の人(1961年製作の映画)
4.0


【フラメンコ💃のBGMに乗せて繰り広げられる憎憎劇】

愛もあるが、作品を通して見せつけられるのはさだ子(高峰秀子)の夫・平兵衛(仲代達矢)と長男・栄一(田村正和)への憎しみ。

いちばん悪いのは隆を愛していたさだ子を無理やり抱いて嫁にした平兵衛であることは明確なのであるが、それで済ませることはしない。
友子(乙羽信子)の隆(佐田啓二)とさだ子への憎しみ、栄一のさだ子への憎しみという連鎖を生んだのは「許し」を拒んださだ子なのである。

終盤、子どもが三人ともそれぞれの理由で家からいなくなり、隆も余命いくばくもなくなった中でさだ子は初めて平兵衛に頭を下げるがそれも隆のために過ぎない。
そこから平兵衛とさだ子の間で交わされる本音のぶつけ合いがどれも本質を突いていて、初めてさだ子に葛藤が生じる。
この持って行き方は木下惠介のすごさ。

重いストーリーや阿蘇の大自然とは対照的なフラメンコの調べがまたいいのよね。
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