この監督自身が、韓国の孤児院から幼い頃にフランス人の養子になっているので、その実体験を基にしている作品らしい。
9歳のジニは父親に孤児院に預けられる。
きちんとしたカトリック教会の孤児院の為、職員の大人達に変な人はいないし(皆優しいと思った)、友達も出来た。
しかしジニは、いつか必ず父親が迎えに来てくれる筈だと信じ、なかなか馴染めないのだった…、
と、筋にしたらそれだけのストーリーなのだが、実体験なだけに、お涙頂戴とか、余計な物は全く入っていない。
あくまで少女ジニの視点で描かれている。
ジニは別に、実家で父親に虐待されていた訳ではない。
しかし、彼女には、何故自分が孤児院に入れられたのか、今から思えば思い当たる事はあったのだが、それだって、そんな理由で自分の子供を孤児院に入れるのか?と、他人から見ても理不尽極まりない理由だった。
それでも彼女は優しかった父親を愛しており、必ず迎えにきてくれると信じていたのだが、仲の良かった人が孤児院から一人消え、二人消え、となるうちに現実を思い知る。
この時期にジニも荒れてしまうのだが、こんな幼い子にこの様な絶望を受け入れろというのが、そもそも大人の身勝手なだけに、本当にかわいそうだった。
孤児院の中では、別に悪い人やいじめもほとんど無いのだが、彼女はこの時、子供である事を捨てたのかもしれない、と思えて観ていて辛かった。