バナバナ

青い鳥のバナバナのネタバレレビュー・内容・結末

青い鳥(2008年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から「ベストフレンズ運動」とか、「青い鳥BOX」とか、「相手を思いやる心」という張り紙を写し、この学校で何かあった事を伺わせ、そこに、ひどい吃音を持つ村内先生が、2年生の3学期に臨時の担任として赴任してくる。

どうやらこの学校では、イジメによる自殺未遂事件があったらしい。
どんなえげつない事件なんだろうと思えば、村内先生が倉庫から戻させた机には「アホ」「バカ」「キショい」「ウザい」「お前なんか死ね!」とか書かれている訳ではなく、なんだかシンプルな落書きが一つだけ。
それに、いじめの実態が分かってきても、トイレで水や牛乳をかけられたとか、教科書や上履きをボロボロにされて捨てられたとか、森山中の大島さんみたいに、裸にされて砂場に埋められたとか、そんな事はされてないらしい。

案の定、村内の行動に、いじめの首謀者らしき少年は「反省文を何回も書いたのに、まだ俺のこと責めるのかよ!」と怒っている。
クラスメイトも「あいつ、いつもヘラヘラ笑ってて、嫌と言わなかったもんな」と首を傾げている。

しかし、村内先生は言う。
「一からやり直すとは、無かったことにするのと同じこと。野口君の気持ちに気付かなかったのは、野口君を踏みにじった事と同じこと。野口君はもう居なくても、みんなはまだここにいる。忘れるな。野口君にした事を忘れないのが責任だ」と。

ココ、『金八先生』だったら、クラス全員の前で話してみんなが反省するところだけど、直接村内先生の言葉を聴いたのは園部君だけだ。園部君が真っ先に原稿用紙を取らなかったのは、自分でも「僕は卑怯だから」と言ってるのと重なって見えたが、真っ先に原稿用紙を取った井上君は、見た目もやんちゃそうだし、園部君みたいに野口君の気持ちに気付かなかった鈍感な子だけど、
「誰のためでもない。今度は自分の為に書け」
という村内先生の言葉に真っ先に行動し、素直な子だと思った。
みなさん、園部君役をやった本郷君を褒めてらっしゃるが、この井上君役の子が本当に自然でぴったりで、よくこの子を見つけてきたな、と思った(この井上君役、今を時めく仲野太賀くんでした。私の見る目も確かやん。ムフフ…)

世の中には、えげつないイジメも未だあるのだろうが、大半のイジメは、こういう普通の子供たちの他愛無い行動から起こるのだろう。
「本気の質問には、本気で答える」
私は村内先生みたいな大人になれるだろうか。
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