三樹夫

キクロプス CYCLOPSの三樹夫のレビュー・感想・評価

キクロプス CYCLOPS(1987年製作の映画)
2.5
80年代にスプラッターの隆盛を受けて作られた日本産スプラッター作品の一つ。ある意味早すぎた『マリグナント』と言えるかもしれない。スプラッターは本編52分あるうちのラスト10分に全振りで、エレベーターの中で奇形VS奇形の肉体変形バトルにすべてが集約されている。マリグナント型の主人公の兄(人の中にもう一人奇形がいるタイプ)が感情を表に出し、中からもう一人の自分が現れるという双子奇形肉体変化に対して、それVR用のやつ?というぐらいバカでかいサングラスをかけた阿藤快も脱皮するかの如く本来の自分の姿をさらけ出し、ゲロゲログチョグチョな姿になって組んず解れつというのがこの作品の目玉だ。
というかそれ以外は完全にぶん投げており、面白くない上に話はよく分からんという作っている人たちのスプラッター以外には興味なさげなのが伝わってくる。環境汚染や放射能、薬物摂取により有害物質が人間の体内に取り込まれ奇形児(キクロプス)が多数誕生。しかし死産の報告書と共に闇に葬られていった。だがキクロプスは地球環境汚染時代に向けての人類進化の明示と考えた科学者がおり、研究は未完成ながら実験により人の姿に形を変えることで何人かのキクロプスが生き延びたという冒頭のテロップ以降は、阿藤快グループの目的とか主人公兄と阿藤快がなぜバトることになるのかすごいファジーな感じ。阿藤快グループにすぐキレる癇癪おじさんがいるのだが、滑舌が悪すぎて何言ってるか分からんのもストーリーの混迷さに拍車をかける。
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