『どうして自分を殺すの?』
『面白い表現だね。理由は忘れた。だけど死のうって決めた。』
『じゃあ自分を殺したくて飲んでるわけ?』
『飲みたいから殺すのかも。』
『おりこうね。』
お酒に身体を明け渡すベンと、お客に身体を明け渡すサラ。
退廃的な破滅の街で、お互いの“天使”に出逢うお話です。
『君は絶対に、絶対に、僕に酒をやめろと言うな。できるかい?』
『できるわ。絶対に言わない。』
自分のなかにベンもサラもいたことに驚きました。
明日なんてどうでもいい。もう未来なんて望んでいない。
ただ、“いま”だけ。儚くて尊いいまを、必死に、大切に、自分に刻みつけていく。
理想的な看取り方、看取られ方で、とても眩しかったです。
『彼を変えようとはしなかったし、わたしに対して、彼もおんなじだった。好きだったわ。――本当に愛してた。』
片手で擦ってくれたマッチ、震えるほどセクシーでした。ありがとうございました。