ゆきこ(元ひよこ)

女の座のゆきこ(元ひよこ)のネタバレレビュー・内容・結末

女の座(1962年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これは、めちゃくちゃ面白かった。説明セリフなしでも家族関係や、人となりがしっかりと立体的に伝わってくるのは、脚本と演出がとても秀逸だからなんだろうなぁ。
成瀬巳喜男版東京物語と評している方がいらっしゃったが、まさにそうだな。
実の子供よりも、死んだ長男の嫁のほうがよっぽど頼りになるっていうね。
オリンピック道路が我が家の敷地を通ったら、補償金3000万!とか、二女夫妻が経営するアパートの家賃は4畳半で5000円とか、生臭い話を入れてくるあたりがとても成瀬巳喜男っぽくて大好き。
杉村春子が別れた夫の元に置いてきた前夫の子、宝田明が胡散臭いなぁ…と思って見ていたら、実の母である杉村春子自身も「あの子は…」と感じている場面、そこで瞼の母的なお涙頂戴にならないところが最高。宝田明の本性を分かっていても、ぐっと堪えて言葉にしない高峰秀子もいいわー。