ちろる

女の座のちろるのレビュー・感想・評価

女の座(1962年製作の映画)
3.9
え?これお正月映画なの?と色々驚かされる暗さとザワザワ感が止まらない作品であります。
お茶の間を舞台にした古き良き作品ってどうしてもサザエさんだとか、男はつらいよとかほっこり感のあるものをイメージしがちですが、この時代のさまざまな作品を観てきて思うのは、リアリティを描けばなかなか穏やかではないという事。
特に子どもが年齢を重ねて親の老後が見える頃、なかなか美しくない「財産分与」のお話しが飛び交ったり、親の世話に関して責任の押し付け合いを描いたものが本当に多いこと!
これもなかなかそういった類の中で辛辣です。「東京物語」の鳴瀬監督版とも言えますがハートフルさがなんだか抜けて主役のお嫁ちゃん役である高峰秀子さんの悲壮感は端ありません。
小姑がいる家ほどめんどくさいものはないなぁーと改めて思ってしまうのはこういう映画のイメージがこういう作品に長く残ってるからでしょうか?
居場所をなくしかけた主人公に一筋の光が見えて本当に良かった。
なんとなくやるせなさは残るのでほっこりとはしませんが、リアリティで容赦なく主役の人生を痛めつける成瀬節はパワフルに発揮されてましたよ。
ちろる

ちろる