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鉄輪(かなわ)のThePassengerのレビュー・感想・評価

鉄輪(かなわ)(1972年製作の映画)
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自分を捨て後妻を娶った元夫への嫉妬と恨みから鬼と化す女を描いた能の演目「鉄輪(かなわ)」を原案に、平安時代と現代とが巧みに交錯するストーリーは、男女の性愛シーンがふんだんに盛り込まれ、まるで前衛的ポルノグラフィのような趣を感じさせる

中年男の浮気相手に扮したフラワー・メグが一糸纏わぬ姿をほぼ全編で披露。彼女は今で言うところの「グラビア・アイドル」みたいな存在だったらしいが、股間を押さえながら喘ぐ痴態などを含め、演技はかなり大胆だ。その日本人離れした顔立ちとスタイルは50年経っても全く色褪せていない

一般にやや敷居の高い古典芸能だが、ホラーの要素を交え(頻繁に流れる金切り音が「サイコ」と似ている)、とても親しみやすく翻案した内容は評価出来る。ところどころでコミカルさも窺えて、恐らくは監督自身が楽しみながら撮ったに違いない。これは名匠・新藤兼人の手掛けたB級文芸エロス作品とでも呼ぶのがあるいはピッタリかも

スクランブル交差点(銀座あたり?)におけるショットでは、道行く人々が揃ってカメラの方を振り向いていたので、多分ゲリラ撮影を敢行したのだろう。この辺にもちょっとした遊び心が垣間見える

(2023-56)
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