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処女オリヴィアの一のレビュー・感想・評価

処女オリヴィア(1950年製作の映画)
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女性監督による寄宿舎を舞台にしたレズビアン映画とは聞いていたが、仄めかしや暗喩に留まらない同性間のセクシャルな欲望・嫉妬が躊躇いもなく充満する淫らなユートピアに驚かされる。寄宿舎内では教師2人が生徒の忠誠を取り合うパワーゲームが展開するが、その搾取的構図にも尋常な躊躇いがないのがスゴい。張り合う2人の関係もまたただらなぬものを感じさせる。作中において後半に唯一登場する男性はカメラに背を向けたままであり、女性だけのクィアなメロドラマを徹底している。

3/27 ニコル・ヴェドレス『パリ1900年』
鮮やかな編集とユニークなナレーションによる風俗映画で、眺めているだけですごく楽しい。ジッドやルノワールといった偉大な文化人の動く姿も新鮮だが、彼ら以上に強烈な印象を残すのは、エッフェル塔から飛び降りるパラシュート男だ。何度も恐怖に足を怯ませながら文字通り決死のジャンプを果たすその瞬間、そして彼が無惨にも地面に叩きつけられる瞬間が完全に捉えられている。はっきり言ってカメラが彼を飛ばせたのであり、この示唆的なシーンはクリス・マルケル『レベル5』で引用されたらしい。覚えてないが。国立映画アーカイブのYouTubeチャンネルで公開されているシンポジウムの動画によると、ヴェドレスは本作以前にラングロワの要請を受けて、シネマテーク・フランセーズ所蔵の膨大な数の写真を整理し、並べ、そこにキャプションを加えた『フランス映画のイマージュ』なる著書を出版していたという。それもまさにモンタージュによって歴史を再構築する仕事だ。
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