イニスとジャックのふたりのどちらにも感情移入はできなかったのにすごく楽しめた映画だった。イニスが色々失いながらの人生に折り合いをつける、みたいな物語だったように受け取った。
ふたりが始まったきっかけのテントの中、暗くて何にも分かんなかったんだけどなんだったんだ。牧場手伝いの仕事過酷すぎる。嵐がきてもあのテントで凌がなきゃいけないの絶望的では。
イニスとジャック、互いに不倫しており、特にイニスは家庭に責任を持っている様子もなく最悪だったが、ああいう生き方しかできない背景もあり、最悪だけじゃなくイニスにどこかしら同情してしまった。
ジャックが明るく前向きな男で、ふたりで牧場を持つ未来をイニスに持ち掛けるところなんか普通にときめいたが、ふたりは妻子持ちなのでなんだかなぁと思う。
ふたりの妻はそれぞれなんの非もなく、子供を産んで働いて、イニスの妻はイニスが男と不倫してることに気付きながら結婚生活を続けていて、避妊も断られるし最悪な生活だっただろうな。
ジャックは案外結婚生活がうまくいっているように見えた。妻の父との折り合いは悪いけど、妻とはそれなりに仲が良さそうだったし。妻の父の会社で働いているから仕事は気に食わないことも多かっただろうけど、大きな問題なく働いているようには見えた（もっと売り上げアップしろみたいなことは言われてたけど）
ジャックがイニスに不満をぶつけるシーンとてもつらかった。ジャックが言うことすべてわがままに思えなくてごく普通の恋人に求める条件のように思えたから。特にいつも会うのは冬ばかりでうんざりだ！！っていうのが冬の寒さと寂しさとふたりの関係が結びついててもう悲しかった。
ジャックの死後、ジャックの家で聞かされる話やクローゼットの隅にかかっていた無くしたと思っていたシャツに涙でした。
ふたりは誰からも祝福されることなく愛し合っていて、法的に結びついていないから死亡したことも、死亡後に故人の願いである遺灰を思い出の地に撒くことも許されず、誰にも知られず永遠を誓って終わったわけですね…超寂しい。
