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俺の血が騒ぐのbluetokyoのレビュー・感想・評価

俺の血が騒ぐ(1961年製作の映画)
2.9
赤木圭一郎さんというのを始めて見た。なるほど、石原裕次郎さん(破綻する良さ)と加山雄三さん(破綻しない良さ)を足して2で割った感じだろうか。俳優として夭折を惜しまれるわけである。
ストーリーの展開が面白い。ただ、いくらストーリーをこねくり回しても、まあ、それだけである。ストーリーが無駄に複雑になってしまうというのには、キャスティングということもあるのかも。つまり、見せ場を作らなければならないということだ。理由はどうあれ、ストーリーはシンプルな方がいいに決まっている。

簡単にあらすじ。
冒頭はある大型帆船が幽霊船のようなぶきみな船を発見するところから。怪奇もののような感じ。確認してみようということになり、ボートで何人かが、その幽霊船に漕ぎ寄せて上陸する。
船室を回ってみたが、妙なことに誰もいない。大型帆船に戻るとき、1人(主人公の弟、明)が行方不明になりかかったが、無事に、大型帆船に帰還する。どうしようかと思っていると、幽霊船は、なんと、爆発炎上して沈没してしまった。なんか怪奇大作戦の出来損ないみたいな出だしだが。
このシーンが伏線みたいになっていて、決まれば、かっこいいのだが、やや微妙な気もする。

主人公の笠原邦夫が長い航海から帰ってきた。弟の明と婚約者の宮沢節子が出迎える。
3人は、節子の父親、宮沢浩平の家に帰る。笠原邦夫と明の兄弟は、父親が亡くなったために、宮沢浩平の家に同居しているのだ。

家に帰って、一息ついているとき、邦夫は、拳銃をいじっている。それを見た明は、げっ、なにやってんだ、あにき、とうろたえるが、警察に通報したりはしない。兄弟の父親は、密輸に関わったとかで、射殺されたのだ。
邦夫は、仇をとるということである。そんなことは警察に任せておけばいいんだよ、と言いつつ、やっぱり、明は警察に通報する気はないのであった。

そんな物騒な兄貴のせいかどうか、明は深夜家に帰らない。どうも、不良とつるんでいるらしい。さっそく、邦夫が出動。バー、エルムに明はいた。てめえ、親父やオレは、どうなってもいいんだ、せめて、お前だけは、立派な船乗りになってもらいたいんだ。と、激オコだったりする邦夫だ。
そんなことをやっていうちに、本物のやくざ、木村組のやくざが店に入って来て乱闘になる。
そこへ健次と名乗る男が入ってきて、助ける。

警察に呼ばれたので、船員手帳は一時的に取り上げられ、船に乗れなくなってしまった。そこで、健次に相談。違法賭博を紹介される。途中まで、賭博をやっていたが、イカサマじゃねえか、といきり立つも、健次は、みんな、仲間じゃねえか、とニコニコ。立岩社長も紹介される。

ある日、木村組のやくざに襲われていた健次を邦夫が助けた。健次は、邦夫に、一緒に船に乗ろうぜ、と誘う。断ったが、健次は、おまえの親父を射殺したやつに会えるかもよ、と言った。邦夫は、船に乗ることにした。

みんなで集合して、射撃の練習。もしかして、てめえが、親父を殺したのか、と邦夫が問いかける。ふっふっふっ、残念だな、おれもエリックも犯人じゃねえぜ、と思わせぶりな立岩社長であった。

船に乗り込むと、なんと、宮沢浩平が船医として乗り込んでいた。邦夫はびっくり仰天、なんでやねん。宮沢も驚いた。邦夫が、親父の仇と会えるってんで、船に乗ったのさ、と言うと、宮沢は、さらに驚いて、途中の港で降りろ、と邦夫に言う。だが、邦夫は言うことをきかない。

ある日、立岩たちが、瓶を空中に放り投げて、拳銃で撃ち抜くという遊びをやっていた。船長もやってみるが、素人なので、まるでダメであった。
そこに船医の宮沢が通りかかる。どれどれ、わたしにもやらせてくれ、と言い出す。どうせ、当たらねえだろう、と思いきや、かるく瓶を撃ち抜く。相当の腕前なのだ。なんかおかしい、と薄々気付いてしまうわけである。

また、さらにある日、近くに来たサプライズ号となにやら交信。サプライズ号から乗組員がボートでやって来た。乗組員は立岩の部屋でなにごとか交換している。それを偶然に目撃した本船の乗組員、立岩たちに捕まった。
見ちゃいけねえものを見たな。消えてもらうぜ。邦夫がすんでのところで、本船の乗組員を助けた。
そんなことをやったものだから、船中がその話題で持ち切り。当たり前だ。

立岩は、船長と邦夫を捕まえ、人質にした。立岩たちは、途中で降りる、そのとき、船長と邦夫を開放する、と告げた。

邦夫はロープを切って、船長と共に、脱出する。

立岩、こうなったら、船を爆破するぞ、健次、爆弾仕掛けろや。健次、わかったぜ。

と言っている間に、邦夫は医務室へ。宮沢を問いただす。
宮沢、おまえの親父を射殺したのは、わたしなのだ。わたしを撃て。邦夫、いや、できない。

そんなことをしている間に、立岩たちは銃を乱射。船員たちは脱出を始める。邦夫も応戦する。

とそのとき、宮沢が裏切って、立岩を銃撃する。船の機関室で、立岩と宮沢は亡くなった。

海上で爆発。健次、おれが船の爆破なんかするかよ。爆弾は海に捨てていた。

などとやっていうちに、冒頭のシーンへ飛ぶわけだ。大型帆船からボートがやって来た。船員が船内を探し始める。邦夫と健次、じつは女もいる、は隠れていた。

探索に来た船員の中に、邦夫の弟の明もいたのだ。しかも、明は機関室に入った。すると、中には、宮沢と、知らないおっさんが倒れているではないか。そこに、なんと、邦夫が現れた。邦夫は、超高速に状況を説明。しかも、宮沢が父親殺しの犯人だと言ってしまうと、余計、こんがらがるので、思い切って、逆にしてしまったのだ。つまり、知らないおっさんが犯人で、宮沢が、自分たちの仇をとってくれたのだ。だが、反撃されて、宮沢も亡くなってしまった。
こうなった上は、オレが、証拠隠滅のために、この船を沈める。だから、お前は、何食わぬ顔をして、大型帆船に戻るのだ。
明はわかったと言って、大型帆船に戻っていったのだった。

そのあと、邦夫は、灯油を撒いて、火をつけた。そうしておいて、健次らとボートに乗って、船を離れるのであった。

相当に無理やりな筋運びだな、とは思いつつも、ま、しょうがないかなというところだ。
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