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武士の家計簿のbluetokyoのレビュー・感想・評価

武士の家計簿(2010年製作の映画)
3.2
2024年5月2日 13:40~ テレビ東京 
波乱万丈でもドラマチックでもなく、ひたすらソロバンをぱちぱちはじいているだけで、おそろしく地味なのだが、生活ぶりや仕事ぶりのディテールをきちんと描いていあるので、それなりに見れる作品となっている。さすが森田芳光監督の作品は安定している。考えてみれば、江戸時代、武士の世の中ではあっても、行政組織であれば、経理部門といった部署もあるわけで、この映画の主人公のような人も存在したに違いない。そうした人物の生きざまを描いている。

簡単にあらすじ。
主人公の猪山直之は、代々、御算用場に勤めている。お駒と結婚する。
しばらくして、お救い米の拠出元である蔵米に、どうもピンハネがあることを嗅ぎ付け、独自の調査をする。尻尾を掴み、上司に報告するも、そんなもんはもみ消せ、ばれたらどうすんだ、バカ、と言われる。
それでも、コツコツと独自に調査していると、奉行に呼び出され、まだ、しつこく調査しているのか、地方に飛ばしてやるから覚悟しておけ、と言われる。
だが、ピンハネはバレて、首謀者全員、捕まり、猪山直之は、よくやったと褒められ、出世する。

しばらくすると、息子、直吉の袴着の儀である。ところが、お駒から、資金が足りないといわれ、猪山家の帳簿を調べてみると、なんと、真っ赤か、そうとうの借金があり、火の車状態であることがわかり、びっくりである。
父親で八代目の算用者、猪山直之で九代目のわりに、自分の家の家計はざる状態だったいうのは、考えづらいけど、得てしてそういうものなのかもしれない。

猪山直之は、一念発起、猪山家の財政を立て直すこととする。家の中のカネにできそうなものはすべて売り払い、借金返済にあてた。
さらに、猪山家の家計簿をつけ、厳しくカネの出入りを管理した。

また、教育のため、直吉に、家計簿の記載を任せた。
あるとき、四文銭がないことが判明する。どうやら、直吉が銭を取り落としたときに、四文銭が、どっかにいってしまったらしい。
猪山直之は、直吉に、どうすんだ、四文銭、とねちっこく問い詰める。
直吉は、あちこち、探し回るが見つからない。ふと、河原に行ってみると、落ちている四文銭を発見、足りない分に戻しておいた。
猪山直之は、落とし物を着服すんな、と厳しく叱責。結局、このあと、どうしたんだ、と思ってしまうが。

といっている間に、世は明治維新。直吉は、会計の腕を買われて役所勤め。
話的には、淡々としているが、とにかく、猪山直之の会計への執念というか、一念というか、それがよく表現されていて面白い。
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