フライ

冷たい月を抱く女のフライのレビュー・感想・評価

冷たい月を抱く女(1993年製作の映画)
4.0
人間不信になっちゃうよ系サスペンス
久しぶりに見て思い出したのは、本作と誘う女を見てニコール・キッドマンが暫くの間、苦手になった事…それでもこの頃の美しさは見とれてしまうものが有るし、それ故、納得がいく作品。

ビル・プルマンが演じるアンディは、大学学長補佐を勤め、まじめで責任感も強く周囲からはとても信頼されていた。そんなアンディは、女子生徒が強姦される事件が発生した事で頭を悩ませており、女性刑事ダナに捜査や警備の強化を依頼していた。
ところが同じ手口による女子生徒への強姦事件が発生し、瀕死の重症を負ってしまうが、アンディの高校の同窓で、ハーバード大卒の優秀な外科医アレック・ボールドウィンが演じるジェッドが、アンディの勤める系列の大学病院に赴任して来て、彼の手術により女子生徒の命は救われる。その病院には、アンディの美しい妻、ニコール・キッドマンが演じるトレイシーがおり、子供好き?と言う事もあり同病院内の小児科病棟でボランティアスタッフとして働いたのだが、ジェッドと顔を会わせた時にお互いを紹介する。
アンディとトレイシーは古い大きな家を購入したばかりだが、ある夜女友達と会っていたはずのトレイシーが男性弁護士と帰宅し、それを見て嫉妬したアンディは問いただすが、'亡き母の遺産整理で会っていた'とトレイシーはキレる。
購入した家は自分達で修繕しカーテンすら買っておらず室内も丸見えで、寝室は向かいの家の少年に何時も見られていた…。修理の出費がかさむ事も有り、トレイシーは3階は賃貸として貸すことをアンディに提案するが、反対していたアンディは勝手にジェッドに貸すことを決め、その際トレイシーの腹痛や子供が欲しい事まで話してしまい、それを聞いたトレイシーは難色を示すが、それでも渋々承諾する。
ある日アンディは、遅刻して落第しかねない女生徒の家に行くが、そこには強姦され殺された無惨な生徒の姿が。ダナは、これ迄の状況から内部犯行を疑っていたのだが、今回の事件の証拠からアンディを疑い精子採取の為警察に連れて行くが、結果は犯人では無いとされ釈放される。そんな時トレイシーは腹痛で倒れ大学病院に運ばれる。そして手術に出頭したジェッドは、トレイシーが妊娠している事を知るが、卵巣の壊死から摘出する事を判断。全てをアンディに話すのだが…

王道サスペンスの2転3転して行くストーリーがとても魅力的な作品なのだが、本作の面白さは、主軸と思われたレイプ事件が、実は主軸では無いと言う驚きのストーリーにあるかと。それでもそのレイプ事件が、ストーリーに大きく影響するのは間違いないのだが、兎に角本作を見てしまうと、人間不信に陥る胸糞ストーリーが面白い!伏線回収も秀逸に展開して行くし、終盤、背景が全て分かってからのストーリー展開もワクワクしながら鑑賞出来とても楽しめた。
キャスティングもピッタリでビル・プルマンの良い人キャラや、ニコール・キッドマンの美しさが上手くストーリーに生きているのも最高だった。因みに、今ではトップ女優として名を馳せるグウィネス・パルトロウが、意外な役どころとして出演していてとても驚いた。

この手のサスペンス作品は、二度見出来る面白さがあるのだが、本作も2回目見ると全く違う見方が出来るだけに、時間に余裕がある人は是非中盤迄でも。因みに自分は前に見た事が有るので今回は1回しか見て無いが、中々良く作り込まれている事に気付きとても楽しめました。
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