フライ

はりぼてのフライのレビュー・感想・評価

はりぼて(2020年製作の映画)
4.0
2016年当時、富山市議や県議の辞職ドミノは、かなりインパクトのあるニュースだっただけに、富山市議14人辞職ドキュメンタリーが有ると知った時点で必ず鑑賞しようと思っていた作品。鑑賞して驚いたのは、内容が進むにつれ、三谷幸喜か福田雄一あたりが監督してるのか?と思わず名前探したくなるほど秀逸なコメディー?じゃなくてドキュメンタリーだった事…

序盤は、議員不正追求のきっかけになる議員報酬引き上げ法案と富山市長、自民党市議の悪辣振りが目立ち見ていてイライラした。議員で'俺は偉いんだ、凄いんだ'的な態度をする勘違い議員は多いが、この当時の富山市町と自民党富山市議達程、クソ議員プロットがピッタリな人達はいないだけに、思わず悪役として演技、演出されているのか?と錯覚する程の酷さが。その後の不正発覚や議員辞職ドミノ劇場は、笑う所では無いが、余りにも笑いを誘う構成に、市議たちの惨めで情けない姿を見て爆笑してしまった。そこに来て市の職員まで結託している上、追求される姿はシュール過ぎて…。
唯一腑に落ちなかったのは、ラスト!
吹けば飛ぶような一地方局が、ここまでやったのはほんとに凄いが、世の中の構造は分かっているとは言え'やっぱり世の中腐ってるのね'と思いっきり実感…地方含め政治を変えるのは並大抵では無理なのか…

富山市民可哀想だなと同情したが、不正議員を再選させている時点で、なるべくしてなったのだとある意味呆れてしまった。
保守系の地域は、どうしても裏で政治家と企業などが嫌な繋がり方をしている所は多いし、ある意味世界共通みたいなところも有るので複雑な心境でみていたが、それでも自分達の税金を食い物にする議員に、はらわたが煮えくり返るのは当然。何よりこの事件きっかけで日本中を騒がせたのに、殆ど変わらない世の中の政治体勢の根深い闇を痛感。悲しさと虚しさを覚えた。
これを見て全てを諦めるか、それとも諦めずに選挙に行くかはあなた次第、と言う作品に思えた。
絶対無理だとわかっているし、言うだけ虚しいが、これを高校生の選挙用必須教材として鑑賞して欲しい!絶対無理だけど…

秀逸なドキュメンタリーで、腹の立つ内容に興味がある人は是非
フライ

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