KnightsofOdessa

ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルターのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

3.5
No.528[もう戻れないあの時間について] 70点

オルタモントの悲劇以前と以後の視点が混在した語り口が実に不思議な印象を残すライブ・ドキュメンタリー。珍獣博覧会と化した無料野外コンサートの愉快な観客たちを観察する目線は、別の意味で歴史に名を刻んだイベントの行く末を知ることがなかった人々のそれであり、"もう戻れないあの時間"を記録したという点で感慨深いものがある。一応ローリング・ストーンズのライブ・ドキュメンタリーなので、歌っているときは演奏してるメンバーか観客の反応を撮るのが定石だが、そのいいとこ取りをしてミック・ジャガーを通り越して後ろに立ってるおっさんにピントを合わせてたのには爆笑した。遊ぶな。てか一般人ステージに立つな。

"もう戻れないあの時間"を体現するのは、悲劇を経て編集室でライブ映像を振り返るストーンズのメンバーだ。当事者であり、出演者でありながら、観客でもあり、人間だった彼らの達観したような表情が、本作品の特異性を際立たせている。
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