キヲシ

仁義なき戦い 広島死闘篇のキヲシのレビュー・感想・評価

仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)
3.7
前作に続き4K版にて再見。終盤、潜伏する北大路欣也を探して走り回る警官たちがヘッドライトに浮かび上がる。夜間の屋外ロケしかも雨という悪条件で撮影された荒いフィルムの画面が艶やかで生々しい…気がする。叩き出された賭博に出刃を持って引き返す北大路はかなりの狂犬ぶり。出所後の無銭飲食でもう一人の狂犬千葉真一らに袋叩きにされたところを梶芽衣子に庇われて、主役の三人が邂逅する。名和宏(前作では土井、今作では村岡、全くわからんかった…)のもとでヒットマンとしての初仕事。名を尋ね腰を落とし発砲後は口笛吹いて遺体に触れて確認。この落ち着きぶり、才能ってもんかね。一方、暴れていない時は常に股間をかく千葉とその一味の暴走ぶり。加藤嘉が父親だと?だいぶ甘やかして育ててしまったのか…。早い内に村岡組をやらねばと突き上げるときの啖呵がすごい。襲撃前日に景気付けで村岡組の溜まり場を銃撃する仲間がまたいかれてる。うーん、室田日出男の憂鬱な顔よ、わかるわ。呉の菅原文太を訪ねた北大路の捨て犬のような姿も印象的だが、犬といえば…ヴヴヴ、ワンワン。娘とプロレスごっこで遊び、寝顔を見て可愛いなあと呟く北大路。梶芽衣子の慟哭が切ない。使い捨ては戦時下から変わらない。
昨年?広島市教育委員会が教材から「はだしのゲン」を外すと決定。初めて全巻読んでみた。浪曲を唄うのがわかりにくい、鯉を盗んで売る場面が…って、おいおい、ここもあそこも問題だらけじゃないの。この映画の北大路みたいなガキも出てくるし、不適切にもほどがある。
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