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曖昧な未来、黒沢清のKのレビュー・感想・評価

曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)
3.5
丁寧な口調の黒沢監督。若い世代が上の世代を乗り越えていく。その先に明るい未来がある。若者にとっての明るい未来が、大人や年寄りにとってもそうであるとは限らない。対立した価値観。『北国の帝王』。ドキュメンタリーとフィクションの境目は無い。意外とざっくり且つ幅を持たせた説明。ダーティーハリー。「僕だって分かんないんで」。普通に生きている人は曖昧で多義的。人に任せるところは任せる。どっちでもいいと言ったときは本当にどっちでもいい。思いつき「何でかは考えてくださいね」。ほとんどの行為は理由がない。理解しようと思うから問題が起きる。ディスカッションするほど嘘っぽい。“理由”がはっきりするのが嫌。楽しい血のり。殺される理由「あまりにも普通だから」。人間の心ではなく肉体が葛藤するドラマ。プロデューサーによるキャスティング。衣装担当の北村道子さんが格好いい。分身。「あいつを裏から操作したい」。脚本では自分自身を超えられない。ときどき反復する映像。予算とスケジュールを守る。ある記録された現実のつながりを“大勢の人と一緒に”みるもの。映像作品を通じて社会の中で自分はどういうところにいるのかを嫌でも認識する場。一体化してるか孤独か。民主的な撮影と、独裁的な編集。狂気の抑制と解放。過去は捨てて変わっていきたい。声の記録に対する恐怖と辛さ。監督の放つ言葉たちはどれも興味深かった。
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