Kamiyo

妹のKamiyoのレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
3.5
1974年 ”妹” 監督藤田敏八 脚本内田栄一
 日活の、非ロマン・ポルノ路線。
 同時上映 関根恵子・草刈正雄の「神田川」

昭和49年だそうですが
ちょうどこの年は 女性のファッションが
世界的に大流行した ミニスカートから 
ロングスカートに移行した年 なんだそうですね。
ミニ発祥の地・ロンドンが正式に ミニスカートの
終焉宣言をしたそうで 映画の冒頭に登場する 
秋吉久美子さんも ロングスカートで
この年は森進一さんの「襟裳岬」がレコード大賞
かぐや姫の「赤ちょうちん」「妹」が大ヒット
巨人が10連覇ならず、長島が現役引退 
引退試合行ったよ

この映画に限ったことではないのですが、この時代の映画を見ていると、どうも映画の内容以上に雰囲気を楽しんでしまいます。過去を懐かしむのも古い映画の効用でもあるのでしょう。内容は、70年代の映画らしく、妙に過激と言うか、エロ+人が簡単に死んでいきます。
すべてが70年代だなぁ、と懐かしむ次第です。

僕は「かぐや姫」のLPレコードを持っていて、「妹」や「赤ちょうちん」をベースに、秋吉久美子を主役にして
作られた映画があることは当時から知っていました
フォークグループ=かぐや姫の曲から取ったもので、
その曲も劇中で流されるが
内容は歌の歌詞とはストーリーは全然違う感じ

ファーストシーン、地下鉄の車両が動き出し、その向こうから秋吉久美子が鞄を持って歩いてくる。そこにタイトルの「妹」が出る。このファーストシーンにグッとつかまれてしまう。
トラックを追いかける犬、屋根の上の雑誌、ひし美ゆり子の足元のちぐはぐなサンダル、突然の地震、置き去りにされた浜辺の三輪車、それぞれどうでもいいようなショットが物語の間に挿入され、映画のムードを作っている

かぐや姫の歌がモチーフになっている。
だが、楽曲の方は嫁入りに向けて妹に捧げる歌だが、
この映画は妹が出戻ってくるところから始まる。
ある意味、楽曲の続編といった面持ちである。
「赤ちょうちん」と同じく秋吉久美子は世の中を浮遊している。そんなマッタリな感覚が似あう女優さんで
兄の林隆三から見れば、かわいい妹であり
年頃の女であり、その二つの間を揺れ動く描写。
兄妹の愛、それも近親相姦という禁忌と隣り合わせの危うい愛を繊細なタッチで描いた青春ドラマ。ヒロイン妹
”ねりを演じた秋吉久美子のちょっとわがままで、
でも憎めない妹像がとても魅力的に撮られていた。
秋吉久美子は本作で立派なバスト披露。

藤田敏八監督、秋吉久美子主演三部作の二作目。
「赤ちょうちん」から僅か5ヶ月後の公開
青春映画には珍しい兄役の林隆三が好演。
他には吉田日出子、伊丹十三、村野武範、藤田弓子
といった脇役が充実している
かぐや姫の山田パンダも迷刑事役で特別出演。
休業中のトルコ嬢役の片桐夕子が恰好いいね。。
片桐はただひとり”ねり(秋吉久美子)から本当の事を
知らされるが。そんなことは重要ではないとばかりに
皆をしきる。そう、人は漂流するものだというように。
たずねてくる
兄秋夫に「捜すと死ぬよ!」というのは印象的だ。

物語、早稲田のつぶれた食堂に兄秋夫(林隆三)は暮らしている。そこに夜中、妹”ねりが鎌倉の同棲していた耕三と別れ帰ってくる。
妹”ねり(秋吉久美子)寂れた地下鉄東西線の早稲田駅ホーム場面がどことなく不吉、天井の壁が突然崩れ出す。
そこには”ねりの暗い心象が投影されていたことが
後々わかる。
兄秋夫は、親が経営していた毎日食堂の看板のある家に住んでいるが、食堂ではない 学生相手の潜りの運送屋している。
そこに妹ねりが帰って来るのだが、妹”ねりが風呂上りに
兄秋夫の目の前で素っ裸で座るシーンがあり
妹ねりは耕三が失踪したので戻って来たと言うのだが、

妹ねりが帰ってきてから、兄、秋夫(林隆三)は急に落ち着きがなくなる。内心ときめいている。伸ばしていたヒゲを剃り落とすシーンにもその心のざわめきが描写されている。そういった細かい心理描写を随所に挟んで、人物の内面を掘り下げる。繊細なタッチと感じるのはそういうところ。さりげない仕草などで意味を伝えていく映画らしい手法。
秋夫は「妹が来てから自分の内に秘めていた凶暴性が疼いてしまう」と強姦もどきで犯した義理の妹ミナコ(吉田由貴子)に白状している。他の女性とセックスしていても妹ねりの顔がチラついてしまう。明らかに近親相姦への怖れが秋夫を悩ませている。
だから追い出すようにねりを鎌倉で再出発させようとする。妹に花嫁衣裳を着せ写真を撮るシーンが泣かせる
離れるべきではなかった兄妹。でもいっしょにいることはもっと危険な二人。そんなジレンマがよく伝わってくる映画だった。

しかし、70年代の映画っていうのは、主張がはっきりせず、わかりにくいな?あの時代、これを見て感動した自分は、そのわけのわからなさに感動していたかもしれない・・・。
Kamiyo

Kamiyo