Shizka

ダメージのShizkaのネタバレレビュー・内容・結末

ダメージ(1992年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

とにもかくにも美しい2人の危険な情事。もちろん物語の結末はこうだろう、と思っていても、2人の演技、表情にどんどん惹きつけられる。

惹きつける魅力を持ってしまったが故に狂ってしまった彼女の価値観。「あなたと会うために結婚したのよ」という一言が印象的。

それにどうしても惹かれてしまう男の運命、どんなに地位がある人でも、家庭が幸せな人でも全てを捨てていい人に出会うこともある、とか考えられないこともある。

彼は全てを捨てて、最後には情熱も無くなって、でも現実に戻れていない。未だに思い出の中に生きて、あの時代の彼女と自分を見ている。彼女と会ったことで彼も壊れてしまったのだ。それが幸せ、のような気もする。

でもそれ以前から彼の生活はきちんとし過ぎていて、節制の中で生きていた、だから狂うことを欲していたのかもしれない。

たぶんそんなことはどうでもいいのだ。飛んできたボールを咄嗟にキャッチするように、出会ってしまったら身体を重ねずにはいられない相手もいる。それが幸とか不幸とかじゃないんだよね。だからキスする場面はほとんどなくて動物のように身体を重ねる。

思春期の少年のようなどうしようもない衝動と、身体を重ねる運命を知っているあどけなさの残る女のやり取り、身体ありきの恋愛の切なさを描いた、いい作品だった。
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