いぬちゃん

ビューティフル・マインドのいぬちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

ビューティフル・マインド(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

最近『オッペンハイマー』を見たし、やたらと戦中の話見るなぁと思っていたら幻覚でした。

統合失調症の方から見る世界が
少し分かった気がします。

架空の人物があたかも自然に出てきて、自然と触れ合う。自分にははっきり見えているのに、周りには理解されない。誰かが言ってあげないと幻覚と現実の区別がつかないのです。

国の極秘の仕事を担っており、敵(ソ連)にばれてしまったと思っていたナッシュは、精神科病棟に連れて行かれた時こう叫びます。
『不法に拉致された!国防省に連絡だ!』

架空の人物は時には友達として現れます。心の支えになっていた友達が幻だったというのは当本人にとってはどんなにショックなのか…想像するだけで辛そうです。

統合失調症は幻覚、幻聴があることは知っていましたが、周りの人まで危険(下手したら死ぬ)が及ぶとはあんまり考えていませんでした。

子供(赤ちゃん)をお風呂に入れるシーンは
衝撃的です。
最初はナッシュが自分でお風呂に入れてあげていたのですが、途中、幻の友達チャールズが現れ、代わりに赤ちゃんをみてくれているんだというナッシュ。
慌てて奥さんがお風呂を見ると、赤ちゃんがお風呂の水で溺れそうになっています。もちろんチャールズなど存在しないから、赤ちゃんは放置されていました。
危険を察した奥さんは、医者を呼ぼうとして、車を出します。慌てたナッシュは、男たちから、あいつは国の極秘を知ってしまった、殺せ、仕方ないんだと命令される幻覚を見てしまいます。
迷ったナッシュは車の前に立ち、全身で「違う!幻覚だったよ!」と訴えます。一つ間違えれば、奥さんは殺されていたのでしょうか。。

寛解に向かった治療法は、幻(の友達、人物全て)を無視すること。かなり辛いと思いますが、懸命な判断でした。

その後ナッシュは数学者としてノーベル経済学賞を受賞します。授賞式では支えてきた奥さんに感謝の気持ちをスピーチします。そこがまた、これまで辛かった気持ちを救ってあげるような愛の言葉なので感動です。

この映画は統合失調症の怖さと、それを支える奥様との愛、そして周りと本人の努力が詰まった人生の物語でした。