HidekiIshimoto

ミツバチのささやきのHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
5.0
シートに座ってこんなときめきを感じたのいつぶりだろう。レンタルでしか観たことないこの歴史的名作を映画館で観れる喜び。けど観るたびにまた深く複雑に熟成していて味わうこっちの味覚が追いつかない感。同時に新たな味覚が植え付けられる感。最初の台詞は子ども達の「映画が来た!」だった。フランケン観に集まったのは子どもと爺と婆だけで青年は皆無だった。戦争ってことだ。そういう映画ってことだ。各シーン美しいとかのレベルを超えて戦慄感。井戸の底の水のように黒くて大きいアナ・トレントの黒目。線路上でやってくる列車を生の向こう側のように見つめるアナ。月に語りかけるアナ。どれもが戦慄で映画芸術を超えて映画魔術化してる。精霊の領域へと入り込むアナ。その異界のほとりで魔に身を委ねるアナ。その時アナの下唇が小刻みに震えているのをはっきり観た!「Soy Ana…」最後の立ち姿はほぼ幽霊。アナが精霊側へ移行したのは戦争脱走兵が殺された時だった。つまりそういう怖い映画だった。『パンズラビリンス』の水源映画なのだった。名作のレベルが違う感。5でも足りない。